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2009年07月号-2
新要介護認定で「非該当」が増加
〜厚労省
 厚生労働省は7 月13 日、「第2 回要介護認定の見直しに係る検証・検討会」(座長=田中滋・慶大教授)を開催した。今回公表された要介護認定状況の結果(第一次集計)によれば、一次判定では軽度に出たものの、「経過措置」の影響もあり、2次判定では前回とほぼ変わらない結果となった。一方で前年同期より「非該当」が増加した。
 調査は全国の自治体で4 月と5 月に審査判定を行った要介護認定者のうち、厚労省に報告のあった情報を集計した。報告したのは1492 自治体、23 万6435 件。
 今回の一次集計では、更新申請者は一次判定で約3 割が前回より軽度に判定される結果となった。ただし、二次判定では希望すれば更新前の認定区分を継続できる「経過措置」を適用したこともあり、約8 割が前回の二次判定と「変わらない」という結果となった。
 新たに要介護認定審査を受けた新規申請者には「経過措置」は適用されないが、今年4 月、5 月に判定を行った新規申請者5 万9396 人のうち、二次判定の結果5.0%が「非該当」(自立)となった。前年同期の「非該当」の割合は2.4%で、ほぼ倍となっている。
 検討会では、結城康博委員(淑徳大准教授)が、自身で行った約5 千件の調査について触れ、「1 次判定はかなり軽度になるが、2 次判定できちっと戻される。大きく見積もれば、軽度化と重度化はなかった」とした。また、19 の自治体における調査で「非該当」の結果が若干高めに出ていることにも注目しているとした。
 また、現場では特記事項の記入に差があるという意見も出た。田中聡子委員(ケアハウス大慈施設長)は「きちんと書いてくれる調査員はいいが、片付け仕事のように書いている調査票もある。そういう調査員に当たってしまうのは不運なのかと思ってしまう」と述べた。主治医意見書について、「開業医で訪問診療に積極的な医師などは、しっかり意見書を書いてくれるが、(大きな病院などの場合は)医師が利用者の顔も浮かばないこともある」と指摘した。
 また、筒井孝子委員(国立保険医療科学院福祉マネジメント室長)は、これまでは調査員により認定結果にばらつきが生じているとし、全国一律の研修システムの構築を提案した。

2009年07月号-1
「皮膚科群」は大幅赤字、「眼科群」は黒字
〜部門別収支調査
中央社会保険医療協議会(中医協)の医療機関のコスト調査分科会(分科会長=田中滋・慶大大学院教授)は7 月10 日、2008 年度医療機関の部門別収支に関する調査報告案」を了承し、診療報酬基本問題小委員会に近く報告することを決めた。調査報告によると、皮膚科と性病科を含む「皮膚科群」では、入院と外来を合わせた収支が大幅な赤字だったのに対し、「眼科群」などでは黒字を維持した。
部門別収支に関する調査は、診療報酬体系に医療機関のコストを適切に反映させるのが狙い。厚生労働省では、「医療経済実態調査に近づけるのが究極の目標」と話している。医療機関の「診療科部門別の統一的な計算手法」を開発するため、03年度から研究を重ね、「精度が高まってきた」(同省)ため、今回、初めて試行的な調査に踏み切った。調査結果を来年度の診療報酬改定に活用するかどうかは、報告を受けて小委が判断する。
今回は、調査対象になった190 病院のうち127 病院の昨年10 月分のレセプトデータを集計。127 病院は、いずれもDPC の対象病院か準備病院だった。集計では、病院の診療科や部署を「入院部門」「外来部門」「中央診療部門」「補助・管理部門」に分類。このうち「中央診療部門」と「補助・管理部門」の収益・費用を、「階梯式配賦法」と呼ばれる手法を使って「入院部門」と「外来部門」に段階配分した。
また、レセプト電算処理システムに対応する「レセプト診療科」のほか、類似するレセプト診療科をまとめた11 の「診療科群」ごとの集計も行った。「診療科群」による集計について、厚労省は「レセプト診療科だと、医療機関ごとの主観がどうしても入る。それをできるだけ排除した上での集計を試みた」と説明した。
集計結果によると、黒字か赤字かを示す「医業収益に対する収支差額の割合」(入院・外来計)は、「皮膚科群」がマイナス46%と大幅な赤字。「放射線科群」と「精神科群」の赤字もマイナス22%、マイナス19%と大きかった。「小児科群」はマイナス7%だった。
これに対し「眼科群」は18%で、黒字幅が最大だった。これ以外では、「外科群」と「産婦人科群」は共に5%。内科群は0%と収支が均衡した。
また、開設者別では「国立公立」マイナス2%、「医療法人」プラス3%、「その他」0%。病床規模別では、「199 床以下」と「500 床以上」が1%、「200−499 床」が0%だった(いずれも入院・外来計)。
猪口雄二委員(医療法人財団寿康会理事長)は、「入院と外来を合わせた経常収支の段階で、全く利益がないということだ。病院を再生産していけないことを意味している。今の診療報酬では、医療の高度化に対応できないとわたしには見えてしまう」と指摘した。
■外来の赤字を入院でカバーか
調査報告では、入院・外来別の収支状況も集計した。それによると、外来はすべての「診療科群」で赤字だった。特に、「皮膚科群」の赤字幅がマイナス74%と際立った。このほか、「小児科群」「整形外科群」「麻酔科群」はいずれもマイナス48%。赤字が最小だったのは「内科群」(マイナス3%)だった。病床規模別でも、「199床以下」マイナス13%、「200−499 床」マイナス18%、「500 床以上」マイナス12%とすべて赤字だった。
 一方、入院では「精神科群」(マイナス22%)、「麻酔科群」(マイナス7%)を除くといずれの「診療科群」も黒字で、外来による赤字を入院でカバーする状況を示唆する結果になった。入院では、「眼科群」の黒字が46%で最高だった。
 西岡清委員(横浜市立みなと赤十字病院長)は、赤字が顕著だった「皮膚科群」の状況について、「入院がそれほど多くなく、主体の外来で赤字が大きくなるので、こうなるのかなと思う」との見方を示した。
 ただ、調査チームのメンバーで、オブザーバーとして参加した池上直己・慶大医学部教授は、「部門別調査といった場合、最大の力点は診療科・部門で見ることにある。必ずしも入院と外来を分けることではない」と指摘。松田晋哉委員(産業医科大公衆衛生学教授)は、「レセプトの作成費や事務部門の人件費をレセプト数で案分すると、どうしても外来が重くなる」とし、入院と外来を合わせた収支を用いる方が望ましいと強調した。

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