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2025年04月号-2 |
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物価・賃金スライドの導入など決議 自民が緊急集会 |
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自民議員有志ら |
自民党参議院議員の有志らが中心となり、医療・介護・福祉の現場を守る緊急集会を18 日に自民党本部で開き、診療報酬や介護報酬、障害福祉サービス等報酬に物価高騰や賃金の上昇に応じて適切にスライドする仕組みを導入するなど4項目を要望する決議を採択した。 採択された決議文は、集まった 306 の署名とともに同日夕方ごろ首相官邸で石破茂首相に手渡された。 決議文では、物価・賃金スライドの導入について、各分野の事業者は著しく逼迫した経営状況に追い込まれていることから次の報酬改定を待たず「期中改定」も視野に入れることとした。 このほか、▽社会保障費の伸びを高齢化相当分に収めるいわゆる「目安対応」を改めた上での財政フレームの見直し▽薬価中間年改定での機械的な引き下げの廃止を含めた薬価改定の在り方の見直し▽著しい人口減少を踏まえた小児医療・周産期体制を維持する新たな仕組みの検討−の3点を求めた。 緊急集会に出席した日本医師会の松本吉郎会長はその決意表明の中で、病院や診療所などの多くは赤字経営に転落し、苦しい経営を強いられているにもかかわらず、医療費の削減を起点とした安易な提案が一部でなされていることに「怒りを感じる」と、語気を強めた。 全日本病院協会の猪口雄二会長は、医療機関などへの貸付を行う福祉医療機構のデータでは、貸付ができないような「破綻懸念先」に該当する病院が5割に上るとし、「このような経営状況では他産業と同じような賃上げを行うことはできない」と強調。これにより人手不足はさらに深刻になるとし、「病院経営は本当に危機的な状況にある」と、切実に訴えた。 老人保健施設でも経営状況は苦しく、「介護福祉士や理学療法士など専門職まで他業界に転職している」と指摘したのは、全国老人保健施設連盟の福嶋啓祐委員長。この 7 月には職員に賞与を支給しなければならないものの、原資が不足する今の状況では「自信を持って支給できるとは言えない」と、厳しい経営状況を吐露した。経営難による人材流出をはじめ、「介護現場は崩壊寸前」だとし、賞与を支給する 7 月までには介護職員のさらなる処遇改善に向けたある程度の方針を示すよう求めた。 |
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2025年04月号-1 |
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医療機関などへの無利子・無担保の優遇融資を開始 |
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福祉医療機構 |
物価高騰により医療機関や介護事業所などの経営が逼迫している事態を受けて、福祉医療機構は無利子や無担保の優遇措置を講じた経営資金の融資を開始した。無担保での病院の貸付上限額を従来の500 万円から最大7.2 億円にするなど大幅に拡充した。融資対象は、病院や診療所、介護老人保健施設、介護医療院、助産所、医療従事者養成施設、訪問看護事業など。 物価高騰の影響で収支差額の減少や経常赤字の状況にある事業所や事業のうち、職員の処遇改善に関する加算などを算定し、経営改善計画書を提出している場合に 2 年間無利子で融資を受けられる。ただ、直近の事業収益(医業収益)の2カ月分が上限となる。 無担保での貸付上限額は、従来の500 万円から病院では最大7.2 億円と大幅に拡充。介護老人保健施設と介護医療院は最大1億円、そのほかの事業所や事業では最大4,000万円などとした。元金の返済が不要な据置期間は2年以内。 経営改善計画書に加え、急激な医療需要の変化に対応するための病床数適正化支援事業の事業計画を提出した医療機関などには、5年間無利子の融資も行う。据置期間は5年以内で、この場合も同様に直近の事業収益の2カ月分が上限。 経営改善計画書の提出がない場合の貸付利率は1.5%で、据置期間は1年6カ月以内。無利子の貸付上限を超えた場合もこの利率が適用される。いずれの融資でも償還期間は10年以内とした。 今回の優遇融資の拡充は、昨今の物価高騰で収支が悪化し、経営難を訴える病院団体などからの要望を受けたもの。厚生労働省は、福祉医療機構による医療機関などへの無利子・無担保の優遇融資を開始するとした事務連絡を8日付で発出し、関係団体に周知を促した。 福岡資麿厚労相は同日行われた閣議後の記者会見で、「最大7.2億円を無担保・無利子で融資する『ゼロ・ゼロ融資』が可能になる」とし、関係者らに積極的な活用を呼び掛けた。 |
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