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2016年05月号-2 |
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『介護への技能実習生受け入れ、質の低下や不安などを払拭』 |
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〜〜衆院 法務委で岩城法相 |
岩城光英法務相は4月6日の衆議院法務委員会で、介護分野への技能実習生の受け入れに関し、内閣提出の「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」を挙げ、「本法案による技能実習制度本体の見直しと併せ、対人サービスという介護分野の特性に応じた要件を設けるなどの具体的方策を講じることが必要」と指摘。そのような方策の実現を通じ、技能実習生の受け入れによる介護サービスの質の低下や利用者の不安などの懸念を払拭(しょく)していくとの考えを示した。吉田宣弘委員(公明)への答弁。
吉田委員と政府の質疑(抜粋) 吉田委員「外国に介護技能を身に付けた人材のニーズがあるか」 外国人技能実習制度への介護職の職種の追加については、今回の法案の内容には含まれていないと承知しているが、検討が進められていくと聞いている。外国に介護技能を身に付けた人材のニーズがあるか。 厚労省・堀江裕大臣官房審議官「ベトナムおよびモンゴルから技能実習生を送り出す要望が出されている」 特にアセアン諸国においては、わが国以上のペースで高齢化が進展すると予測されており、日本が蓄積してきた認知症ケア、自立支援といった介護に関する知識・技術の習得や人材育成に対するニーズは増大すると考えている。現実にベトナムおよびモンゴルから技能実習生を送り出す要望が出されているし、介護福祉士の養成施設の留学生がいる。現時点では在留資格が認められていないので、仮に卒業して介護福祉士の資格が取れた場合でも日本で働くことはできない形だが、平成26年度では59人が入学している状況にある。
吉田委員「サービスの質を担保するとともに、要介護者の不安を招かないようにしていくことが大切」 技能実習生に不安や不満があると、要介護者に不利益が及びかねない。介護職に技能実習制度が拡充した際には介護サービスの質を担保するとともに、要介護者の不安を招かないようにしていくことが大切だ。 堀江審議官「質の担保や要介護者の不安を招かないという線に沿って実施していきたい」 検討会でも介護サービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないよう安心してサービスを受けるのに必要な程度の言語能力を担保されること、技能実習生であっても他の日本人と比較してサービスの水準が著しく劣ることがなく安定性・確実性が担保されていること、利用者との間でトラブル等が起きたり、技能実習生の労働者の権利が侵されたりする状況が生じないようなこと、というようなことが重要と認識しており、その線に沿って実施していきたいと考えている。
吉田委員「利用者の立場に立った検討を加えていただきたい」 利用者の立場に立った検討を加えていただきたい。今までのやり取りを受けての所見を。 岩城法務相「制度本体の見直しと併せ、介護の特性に応じた要件を設けるなどの具体的方策を講じる」 介護分野に技能実習生を受け入れることに対しては、介護職に対するイメージ低下、あるいは日本人介護従事者の待遇向上への影響、そして介護サービスの質の低下や利用者の不安などの懸念が示されている。そこで、本法案による技能実習制度本体の見直しと併せて、対人サービスという介護分野の特性に応じた要件を設けるなどの具体的方策を講じることが必要と認識しており、そうした方策の適切な実現を通じて、そういった懸念を払拭していきたいと考えている。 |
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2016年05月号-1 |
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『一般会計総額96.7兆円、過去最大の平成28年度予算が成立』 |
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〜参院本会議 |
一般会計の総額が96兆7,218億円と過去最大となる平成28年度予算(案)は3月29日の参議院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。 採決前の討論では、「社会保障関係費の自然増を抑制するため、診療報酬を8年ぶりにマイナス改定したが、病院や薬局の運営が圧迫され、特に地方における医療機関の不足を助長する恐れが否めない」(民主・新緑風会、野田国義議員)との反対討論の一方、「国民の安心・安全の基礎にもなる国家財政への信用を確実にしていくために、『改革工程表』に基づいて社会保障の質に対し、徹底的な重点化と効率化等に取り組むことになっている」(自民、堀井巌議員)との賛成討論があった。 ■ 格差が広がり、“口腔崩壊”と呼ばれる状況も ── 民主・西村委員 本会議に先立って開かれた同日の参院予算委員会では、安倍晋三首相と全閣僚が出席し、平成28年度予算案について締めくくり総括質疑を実施。質疑終局後の討論では、西村まさみ委員(民主・新緑風会)らが反対の立場から、石川博崇委員(公明)らが賛成の立場からそれぞれ討論を行った。 西村委員は反対する主な理由について、「本予算案が格差の拡大を何ら是正するものではない」として、「歯科医療の現場から見れば、子どもから高齢者まで年齢を問わず、経済的困窮から医療機関にかかることをあきらめてしまい、虫歯が10本以上あるなど“口腔崩壊”と呼ばれる状況が先日報道された。格差と貧困の問題が深刻さを増し、社会のさまざまなところに表れてきている。安倍政権の施策では格差の壁を解消するには及ばないと言わざるを得ない」などと述べた。 ■「経済・財政再生計画」で社会保障費の伸び抑制 ── 公明・石川委員 石川委員は「TPP(環太平洋パートナーシップ)を真にわが国の経済再生、地方創生に結び付けていくことが求められている。こうした喫緊の重要課題について重点的に取り組む強い姿勢を示した本予算の一刻も早い成立と着実な執行こそが政府・与党の責任である」と強調。賛成する主な理由については「財政健全化を推し進める予算となっている点だ」として、「平成32年度の基礎的財政収支の黒字化を目指す『経済・財政再生計画』の初年度に当たる本予算は同計画の目安に沿って社会保障関係費や一般歳出の伸びを抑制している。財政健全化に資する予算となっていることを高く評価する」などと述べた。 |
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