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2025年11月号-2 |
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病院建て替えや病床削減を支援、新たな経済対策 |
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| 政府 |
政府は21 日の臨時閣議で新たな経済対策を決定した。医療や介護関連では、医療機関や薬局、介護施設の経営改善や処遇改善につなげる「医療・介護等支援パッケージ」の緊急措置が柱。 物価上昇への対応では診療材料費や病院建て替え、病床削減を進める病院を支援する。 事業継続が困難な民間の基幹病院向けに福祉医療機構による資本性劣後ローンも創設する。 また処遇改善では、賃上げに取り組む医療機関の従事者に対してプラス3%のうち半年分、介護従事者全般には月1 万円の半年分の賃上げを措置する。 高市早苗首相は新たな経済対策の閣議決定後に、財源を裏付ける2025 年度補正予算案の早期成立を目指す方針を示した。 中央社会保険医療協議会の改革など、自民と維新の連立政権合意書に盛り込まれた新たな社会保障改革も進める。具体的な骨子について年度内に合意して26 年度中に制度設計を行い、順次実施する。 26 年度の診療報酬改定は、高度機能医療を担う病院の経営安定化と従事者の処遇改善や、病院・診療所の機能に着目した分化・連携などに留意しながら実施する。現役世代による保険料の負担抑制との整合性も確保する。 |
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2025年11月号-1 |
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| 診療報酬10%以上の引き上げを要請 |
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| 医療団体連絡会議 |
医療5 団体でつくる医療団体連絡会議は10 月30 日、医療現場の経営危機を回避するため、次期診療報酬改定で基本診療料の10%以上の引き上げなどを求める要請書を伊原和人厚生労働事務次官に手渡した。国民の命や暮らしを守る社会基盤の崩壊を招く深刻な事態だという団体からの訴えに対し、伊原氏は「現在、緊急の財政措置を検討している」と応じたという。 医療団体連絡会議は、医療従事者など約17 万人が加盟する日本医療労働組合連合会(医労連) をはじめ、全国保険医団体連合会(保団連)、全日本民主医療機関連合会、日本医療福祉生活協同組合連合会、新日本医師協会から成る。 要請書では、医労連が集計した医療機関と介護事業所の2025 年春闘での賃上げ額が5,772 円(2.07%)にとどまり、主要産業の平均の3 分の1 程度だったと指摘。物価高などで7 割を超える病院が赤字に陥る中、年間の一時金をさらに引き下げる事業所も続出していると訴えた。 医労連の佐々木悦子中央執行委員長は、「他産業への人材流出に歯止めが利かず、地域医療も介護の提供体制も守れない」と強調。補助金などでの緊急の財政支援を求めた。 その上で、26 年度の診療報酬改定で基本診療料などの10%以上の引き上げを要請。介護報酬についても同様の引き上げが必要だとし、27 年度に予定されている改定の前倒しも求めた。 保団連の小澤力副会長は、医療機関や介護事業所の倒産件数が過去最多のペースで推移しているとし、危機的な経営状況を訴えた。「医療・介護業界は今、倒産のパンデミックに襲われている」と述べ、早急な対応を強く求めた。 これに対し伊原氏は、「医療や介護現場の経営環境が悪化している状況は承知している」とし、高市早苗首相からの指示で緊急の財政措置を検討していると説明したという。26 年度の診療報酬改定でも必要な対応を行う考えを示した。 要請活動の後、保団連は医療団体連絡会議と共に診療報酬の大幅引き上げを求める大集会を開催。オンラインを含めて530 人が参加し、国会議員11 人も出席した。医労連の佐々木委員長は集会で、「医療・介護の関係者が共に声を上げなければならない局面にきている」と語気を強め、診療報酬の大幅引き上げなどの支援の実現に向けて、一堂に結束を呼び掛けた。
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